運命からみる結婚適齢期とは

「結婚」というものは私たち人間が避けて通れないテーマの一つです。男性であっても女性であっても、結婚は人生の大きな変化点であり、それ以降の運命を変えていく大きな要素になります。

そもそも人はなぜ結婚するのでしょうか。現実をみると結婚に失敗して毎日を悶々と過ごす人がいます。また結婚生活が大きな引き金になり、自暴自棄になり人生をダメにしていく人がいます。それでも人は結婚するのです。結婚とはただの紙切れによる契約ではありません。もしそれだけのものであれば、その紙切れを破り捨てればよいのです。結婚の背後にはその契約を超えた複雑な何かがあると考えねばなりません。

運命を考えるとき、誰でも自分の結婚する時期については興味津々でしょう。ただ結婚というのは運命的にみても最初からすべて定まっているわけではありません。ただはっきりと言えるのは、「結婚には人によって適した時期がある」ということです。一般的な常識からいえば二十代の後半から三十代の前半でしょう。しかしそれはあくまでも一般論であって、必ずしも個人ごとの状況には合わない場合があります。一人ひとりの運命はすべて異なります。ですからその時期も人によって違ってくると考えねばならないのです。

以前、なかなか結婚しない息子さんのことを心配した母親が訪ねてきました。相談者の母親は五十代の半ばくらいでしょうか。年齢的にいっても孫の顔が見たい時期かもしれません。家柄はかなり裕福なようで、聞けばご主人が実業家であり、仕事も順調にいっているとのことでした。母親は個人的な悩みはなく、三十代になっても独身でいる息子さんを心配していました。要するに家業の跡を継ぐためにも息子さんに安定した家庭をもってもらいたい、と考えていました。

私は相談内容を一通り聞いてから、息子さんの四柱推命の基礎データに目を通します。すぐに気づいたのは息子さんの現在の周期の不安定さでした。特に対人関係で一番悪い時期であり、結婚にも適さない時期でした。一般の四柱推命でいう「傷官」の時期に当たっていました。息子さんはそもそも神経質な性格をもち、プライドが高く対人関係もよくありませんでした。その生来の性格に加えて、現在の周期がさらにそれを悪く不安定にしていました。

こうした時期は感情的な排他性が強まるために、人間関係がうまく機能しません。このような時期に無理に結婚すると、常に口論などが発生して怒りが蓄積し、結婚生活そのものが破たんすることが多いのです。このことを母親に正確に告げました。

「お母さん、息子さんは今、結婚には適さない時期に入っています。もう少し先に結婚を伸ばしてはいかがですか」。その母親は結婚に関心のない息子に縁談の話を持ち掛けようとしていました。しかしこのような時期に縁談はよくありません。差し迫った事情がなければ、やめておいた方が無難です。深層心理が不安定な時期にそのような話を進めても、うまくいくはずがないのです。

「ですが跡継ぎのこともありますし・・・」。母親としてはこのような息子さんの事情をまったく知らないわけですから、ふつうに縁談の話を進めたいわけです。「でもお母さん、現在のような時期に結婚すると、すぐに離婚する可能性がありますよ」。私が言うと母親はびっくりした顔をしました。そして予想もしない応えが返ってきたのです。

「実は黙っていたのですが、もうすでに一度離婚しているのです」。その息子さんはすでに一度結婚に失敗していました。そこで息子さんの四柱推命データをみると、結婚に厳しい時期は〇〇年から入っていました。「では結婚した年はいつですか?」「えーと、〇〇年です」。

再び驚きました。息子さんが結婚した〇〇年は、今の不安定な周期に入る一年前だったのです。なるほどその周期に入る前だったので、息子さんは結婚に乗り気になったのでしょう。しかし結婚した翌年、すぐに大きな周期の変化が起きていました。周期が変化すると、それまでまったくなかった別の性格が生じてくることがあります。息子さんの場合は結婚に障害の多い、神経質な性格を作る感情的な周期が巡っていたのです。そのことで喧嘩が絶えなくなり離婚に至ったことが推測できました。

「そうですか。わかりました。しかし離婚の本質的な原因は周期的な流れによるものです。この時期は今もまだ続いているので、今またすぐに結婚すればまた同じ結果になりますよ」。実際にこのような人が多いのです。離婚後すぐに結婚して、またすぐに離婚する人がいます。離婚は単に相性が悪いというわけではなく、周期的な時期が悪いというパターンも多く存在するのです。私は母親にこうした流れがあることを説明しました。なかなか納得しませんでしたが、ようやく理解できたようです。

「わかりました。さすがに二度も離婚させるわけにはいきません。今回は先生のおっしゃることを聞いて、慎重にしたいと思います」。私はそれを聞いて安心しました。そしてこの周期がいつ抜けるのかを説明しました。彼の次の周期は安定した時期でした。特に結婚に関しては感情の共感機能が作用する良い時期でした。深層心理の状態が安定すれば、離婚などの問題は簡単には起きません。安定した結婚を望む人はこのような周期に結婚すればよいのです。

ただ多くの人はこのような周期の変化があることを知りません。懇切丁寧に周期の説明をした後で、「でも先生、そんなのは気の持ちようですよね」という人がいるのは残念でなりません。たしかに気の持ちようは大事ですが、そこには明らかな誤解があるのです。実際に息子さんのような事例の周期に入れば、深層心理の中で排他的な怒りの感情が暴走するので、簡単には自分の気持ちを制御することができません。ですから「気の持ちよう」というのは運命を自分に都合よく解釈しようという意図が感じられるのです。

安定した結婚生活を望む人はあえてこのような周期に結婚する冒険などをせず、安定した周期に入ってから結婚すればよいのです。琉球四柱推命の分析手法は占い的なものではありません。人間の深層心理の構造に沿ったものなので、周期性の心理的な変化を間違えるということはないのです。琉球四柱推命では人間の背後にある本質的な状況を正確に把握することができます。そこから「ではどうすればよいのか」という具体策を考えることが可能になるのです。

結婚する場合も周期の影響を検討することでその良しあしを判定することができます。それが良い時期であれば問題ありませんし、また悪い時期であっても対策を施すことで、それに対処することもできるのです。このように運命は自分自身の心を正しく見つめることで良くしていくことができるのです。


 

 

2019年09月27日